
海や森、川には多くの生き物が暮らしています。
しかし現在、日本では多くの生物が絶滅の危機に直面しています。
その状況を科学的に評価し、どの生き物がどれくらい危険な状態なのかを示したものが
日本の「レッドリスト」です。
この記事では
- 日本のレッドリストとは何か
- どのような基準で分類されているのか
- 日本で絶滅の危機にある生き物
についてわかりやすく解説します。
日本のレッドリストとは
日本のレッドリストとは、
日本国内の野生生物の絶滅危険度を評価した一覧です。
これは
環境省
によって作成・更新されています。
レッドリストの目的は主に次の3つです。
- 絶滅の危険がある生物を明らかにする
- 保護や保全の必要性を社会に伝える
- 生物多様性を守るための政策に活用する
つまりレッドリストは、
**「日本の生き物の危険度を示す健康診断のようなもの」**といえます。
レッドリストの評価区分
日本のレッドリストは、
世界的な基準である
国際自然保護連合(IUCN)
の評価方法を参考にして作られています。
主な評価区分は次の通りです。
EX 絶滅
すでに存在しない状態
例
ステラーカイギュウ
18世紀に北太平洋(ベーリング海)で発見されましたが、乱獲により発見からわずか27年で絶滅しました。
ジュゴンの仲間で、体長は8メートルにも及んだと言われています。
もっと早くに気付いていたらこんな光景もあったかもしれない。。
EW 野生絶滅
自然界ではいなくなり、
動物園や水族館などでのみ生存
例
現在海の生き物では該当無し
なぜ海の「EW」は少ないのか?
飼育の難しさ:大型のクジラやサメ、特定の深海魚などは、水族館などの施設で「繁殖させながら維持する
(EWの状態にする)」こと自体が技術的に非常に難しいため、野生がいなくなるとそのまま「
絶滅(EX)」に直結しやすいという側面があります。
調査の難しさ:深海や遠洋に隠れている可能性を否定しきれないため。
CR 絶滅危惧ⅠA類
非常に高い確率で絶滅する可能性
「野生絶滅」に近い、または極めて危険な種
「野生絶滅」とは、飼育下(水族館や保護施設など)でしか生存していない状態を指しますが、
海洋生物においては「野生絶滅」と認定されるケースは稀で、多くは絶滅寸前(CR)として扱われます。
メキシコのカリフォルニア湾北部にのみ生息する世界最小のイルカです。
刺し網による混獲が原因で、野生の個体数は現在10頭未満と言われており、現時点で最も絶滅に近い海洋哺乳類の一つです。
コガシラネズミイルカ(バキータ)
人と共存イメージ
EN 絶滅危惧ⅠB類
絶滅の危険が非常に高い
例
ジンベエザメ 世界最大の魚類ですが、乱獲や船との衝突などの影響で個体数が減少しており、IUCN(国際自然保護連合)ではENに指定されています。
アオウミガメ 食用や甲羅目的の乱獲、産卵場所である砂浜の減少などが原因です。日本でも小笠原諸島などで保護活動が行われています。
イワシクジラ・シロナガスクジラ 大型のクジラたちも、かつての商業捕鯨による激減から回復しつつある種もいますが、依然として絶滅の危険が高い(EN)とされています。
サンゴ類(一部) 海水温の上昇による白化現象が深刻で、特定の種(ウスエダサンゴなど)がENに指定されるケースが増えています。
水族館でのラッコ
実は、日本の水族館で見られるラッコも非常に少なくなっています。
ッコについては、現在**「EN(絶滅危惧IB類)」**に分類されています。
世界的な基準であるIUCN(国際自然保護連合)のレッドリスト、および日本の環境省のレッドリストの両方でENとなっています。以前は「VU(絶滅危惧II類)」だった時期もありましたが、個体数の減少や生息環境の悪化が深刻であると判断され、より絶滅の危険が高いENへと引き上げられました。(その名残で当サイトのラッコのイラストはVUの表記のものもあります。)
- 1990年代には日本全国で120頭以上飼育されていましたが、現在は2頭(三重県の鳥羽水族館に2頭、福岡県のマリンワールド海の中道に1頭は2025年1月4日に死亡しています)まで減少しました。
- これは、アメリカからの輸入が厳しく制限されたことや、飼育下での高齢化・繁殖の難しさが原因です。
野生でも飼育下でも、ラッコは今とても貴重な存在になっています。
鳥羽水族館(三重県):メイ、キラ(計2頭)
ちなみに、ラッコと同じイタチ科の仲間である「ニホンカワウソ(沿岸部にいたもの)」は、残念ながらすでに絶滅(EX)したとされています。
カワウソについてはこちら→
「IA類(CR)」との違い
前回の質問で触れたコガシラネズミイルカ(バキータ)などは、さらに一段階上の「絶滅危惧IA類
(CR:ごく近い将来の絶滅の危険)」に分類されます。
「IB類(EN)」は、それに次ぐ危機の状態ですが、適切な保護が進めば回復の可能性も残されている段階と言えます。
VU 絶滅危惧Ⅱ類
絶滅の危険が増大している
例
ホホジロザメ
世界中の海に広く生息していますが、成長が遅く繁殖力が低いため、混獲(誤って網にかかること)などの影響を受けやすく、世界的に減少傾向にあります。
マナティー(各種)
穏やかな性格の草食性哺乳類ですが、生息地の喪失やボートのスクリューによる事故が大きな脅威となっています。
ザトウクジラ
保護活動により個体数は回復傾向にありますが、依然としてIUCNのレッドリストなどでVU(一部地域を除く)とされ、監視が続けられています。
メガネモチノウオ(ナポレオンフィッシュ)
ダイバーに人気の大型魚ですが、高級食材としての乱獲により個体数が激減しました。
カブトガニ
「生きた化石」として知られていますが、干潟の埋め立てなどによる産卵場所の消失が原因で、日本の環境省レッドリストでも絶滅危惧II類に指定されています。
マフグ・ホシガレイ
日本の食卓にも並ぶ魚たちですが、海洋環境の変化や漁獲圧によって、地域や種によってはこのカテゴリーに分類されることがあります。
なぜVUになるのか
VUに分類される生き物の多くは、以下のような特徴を持っています。
- 寿命が長く、子供を産む数が少ない(一度減ると回復に時間がかかる)
- 特定の生息環境(干潟やサンゴ礁など)に依存している
- 商業価値が高い(食用や観賞用として狙われやすい)
身近な魚や、水族館で人気の大型生物も意外とこの段階にいたりします。
NT 準絶滅危惧
現時点では絶滅危機ではないが注意が必要
NT(準絶滅危惧)」は、現時点では絶滅の危険度は高くありませんが、生息環境の変化によっては将来的に「絶滅危惧」に移行してしまう可能性がある種のことです。「レッドリストの予備軍」のようなイメージ
海の生き物の中には、私たちが普段よく目にしたり耳にしたりする種類も多く含まれています。
例
ミナミハンドウイルカ
日本では御蔵島や小笠原諸島でウォッチングの対象として親しまれていますが、生息域が沿岸に限られているため、人間活動の影響を受けやすくNTに指定されています。
シュモクザメ(一部の種)
特徴的な頭の形をしたサメです。種類によっては深刻な絶滅危惧種もいますが、全体として漁獲の影響を強く受けており、予断を許さない状況です。
トビエイ
海中を羽ばたくように泳ぐ姿が人気ですが、網に誤ってかかってしまう(混獲)ことが多く、個体数の動向が注目されています。
カニクイアザラシ
南極周辺に非常に多く生息していますが、気候変動による海氷の減少が将来の脅威になると予測されています。
なぜ「準絶滅危惧」なのか?
NTに指定される生き物には、共通する背景があります。
- 今は数が多いが、特定の場所だけに集中している(そこで何かが起きると一気に減る)
- 生息環境が人間の生活圏に近く、汚染や開発の影響を受けやすい
- 地球温暖化など、長期的な環境変化の影響をじわじわ受けている
「今はまだ大丈夫」と言えるうちに、環境を守っていくことが大切とされるカテゴリー
DD 情報不足
日本で絶滅の危機にある生き物
日本では多くの生物がレッドリストに掲載されています。
特に海の生き物では
- サンゴ
- ウミガメ
- 一部のサメやエイ
- 海鳥
などが危機的状況にあります。
また、地域によっては
特定の個体群が急激に減少しているケースもあります。
なぜ生き物は絶滅してしまうのか
絶滅の主な原因は次のようなものです。
生息地の破壊
都市開発や森林伐採
海洋汚染
プラスチックや化学物質
気候変動
海水温の上昇
外来種
在来種との競争
これらの影響が重なることで
多くの生物が危機的状況に追い込まれています。
私たちにできること
生き物を守るために
私たちにもできることがあります。
- 海や自然を大切にする
- 環境に配慮した商品を選ぶ
- 生き物について学び、知る
そしてもう一つ大切なのが
水族館や動物園の役割を知ることです。
水族館は
- 絶滅危惧種の保護
- 繁殖研究
- 環境教育
など重要な役割を担っています。
まとめ
日本のレッドリストは
生き物の危機的状況を知らせる大切な指標です。
私たちが生き物の現状を知ることは、
自然を守る第一歩になります。
海や川、森の生き物たちが
未来にも生き続けられるように、
まずは「知ること」から始めてみましょう。
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